saturday night

   サムの妄想?大航海Online日誌
伝説のカーラ
今、オレは船の甲板に立ち、そして目の前にはカーラが立っている。
そう、紛れもなくオレの副官カーラだ。
しかし、彼女はいつものカーラではなかった。
額にはめられたサークレットからは禍々しいオーラが放たれ、辺りに充満していた。

「クッ!キサマが灰色の魔女カーラだったとは・・・。」

「あははははっ、今頃気付いてももう遅いわ。」

「お前の好きにはさせんぞっ!ここで息の根を止めてやる!」

「やれるもんならやってみなさい、虫けらが!」

かつて300年前、北海のニシンを食い尽くしたといわれる、伝説の魔女カーラ。
このままこの女を放置すれば、海が大変なことになるのはわかっている。
おそらく、北大西洋のサンマは食べ尽くされてしまうだろう。
それだけは絶対に阻止せねば・・・・

しかし、副官と思い信頼していたカーラに寝首をかかれた形のオレは、
いつものカリビアンシャツにサンダル、そして武器すら持っていなかった。
そんなことに躊躇する間もなく、オレは覚悟を決め、カーラに殴りかかった。

「どりゃぁぁぁぁぁっっ!!!」

「あはははははっ!」

オレの攻撃を軽くかわしたカーラは何かブツブツと唱えた。
その瞬間、オレは足が急に鉛のように重くなるのを感じ、ガックリと膝をついた。
足を見ると、くるぶしから先が石になっている。
そしてそれは、徐々にすねへ、すねから膝へと進行していく。

「クソッ!暗黒魔法か!!」

あははっ、勝負あったわね。あと数分であなたは石になって死ぬわ。」

身動きできなくなったオレは死を覚悟し、天を見上げた。
長い航海の間の楽しかったことや、辛かったこと・・・たくさんの思い出が甦ってきた。

「みんな、すまん・・・オレもうダメだわ・・・バジリコパスタ、もっと食べたかったなぁ・・・。」

オレはバジリコパスタに思いを馳せ、静かに眼を閉じた・・・その時!

バシューーーーーンッ!!!!

空気を切り裂き、一本の光の矢が飛んできた。
その矢はオレの足に見事命中し、みるみる石化を治癒していく。

「これは・・・治癒魔法・破魔矢!アイツ・・・か!」

オレが振り返るとそこには、かつての見慣れた顔がいた。
すらりとのびた背、肩より少し長い緋色の髪・・・
遠い昔・・・クライス大陸で共に戦った俺の古女房・・・。

「何やってんのムーン!さっさとあんなヤツぶちのめしてしまいなさいっ!」

「言われなくてもやるさ、ヒィードリット!アレもって来てくれたかっ?!」

「そんなことだろうと思って、持ってきたわよ、ほいっ!」

そう、そこにはかつての相棒、ヒィードリットが立っていた。
オレはヒィードリットから受け取ったモノを魔女カーラにかざした。

「さあカーラ、キサマもこれで・・・・・・ってコレ停戦協定状じゃん!こんなもん効くかボケぇぇぇぇぇ!」

「えぇ?!違った?これね!はいっ!!」

「おぅ!これだぜ、これで敵をチョキチョキと・・・ってこれ仕立て道具やんっ!!こんなんで倒せるかぁぁぁぁぁッ!」

「あああ、ゴメン!お約束だと思って・・・・テヘッ!これね、それッ!」

「いや、最初からそれくれないとオレ死ぬからっ!おもいっきり死ぬからっっ!」

オレはようやく愛刀・アレクサンダメスの剣を受け取ると、カーラに向かって構えた。

「覚悟!恨みは無いが斬らせてもらうっ!!!」

オレの刀が一閃するとカーラはその場にガックリと崩れ落ちた。

「ふぅ・・・終わったな・・・」

オレは倒れたカーラの傍に駆け寄り、抱き起こした。
そのカーラは「灰色の魔女カーラ」ではなく、いつものオレの副官のカーラに戻っていた。
ぐったりとしたカーラは最後の力を振り絞り、か細い声で言った。

「船長・・・・あたし・・船長の・・コト・・ほんとは好k・・」

「やかましい!さっさと逝けやぁぁぁぁぁ!!」

オレはカーラが苦しまぬように、涙ながらにトドメを刺した。

かくして世界の海の平和は守られたのであった。。。
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