2006.10.26 Thursday
航海37日目〜もう鶏ローストは。 |
「さあ、出航だ。」
「船長、何処へ向かいやすか?」 「・・・・・」 オレは少し考えた。 そう言えば今日はやることねーな・・・ 船員達はオレが行き先を告げるのをこっちを見つめてじっと待っている。 「ん?ああ、アムスだ。」 とりあえず思いついた名前を言ってみる。 「アイアイサーッ!!」 船員達の活きのいい声が甲板に響き渡った。 とりあえずアムスとは言ったものの、次は何処へ向かうか・・・。 ん、そういえば料理の保存がもう少なくなってたな。 料理の材料調達でも行くか・・・。 とそこへ丁度いい具合にお菓子屋のヒヤコが来たとの一報が入った。 (獲物がきたぜ・・・つかまえて働かせてやる。) ふとオレの脳裏に悪魔がささやいた。 オレは悪魔に抵抗することもなく、カモメのゴンにヒヤコまで手紙を届けさせた。 「よかったら調理修行でもやらないか?」 「うん、やる!」 ふはははは!うまくいったぜ。 これで今日は存分に働かせてやる。 せいぜいオレのために働いてくれよ、ヒヤコちゃんよ、ふはははっ! しばらくしてヘルデルで合流したオレ達は料理を「鶏のロースト」に決定し、 材料集めを始めた。 材料はヘルデル〜ロンドン往復でそろうのだが、カレーにウシを買いに行くと言う。 「ロンドンでバター売ってるじゃねぇか。」 「鶏肉はニワトリから、バターは乳と塩から作らないとお金もったいないでしょ!」 「ん・・うむ、そうだな・・・」 まったくヒヤコの商魂には恐れ入るぜ。 商人のオレが気おされるとは・・・ しかし、それでは「塩」が必ず足りなくなるんじゃないのか? オレは材料が足りずに失敗し、泣き出すヒヤコを想像し少しニヤリと笑った。 「ちょっとサムン!塩足りないんだからさっさと買ってきてよ!なにボーッとしてんのよ!」 「う・・うむ、すぐ行って来る。」 オレは言われるがままに塩買いにブメを繰り返す。 せいぜいオレがブメしてる間に料理作ってればいいさ。 だまされてるとも知らずにな・・・・ふはははっはっ! 「どうなんだ、そろそろできたんじゃないのか?」 「今度は鶏が足りないわ、さっさと行って来て!!」 「・・・・・・ぁぃ」 かくして、鶏のローストなるものが大量にできあがった。 ふはは・・・まんまと働かせてやったぜ。 今日のオレは最高に冴えてる。 そろそろ引き上げ時か・・・ 「じゃ、オレはそろそろ行くぜ。」 「今日はありがとう、またねっ!」 ヒヤコの笑顔に見送られオレは新たな冒険へ向かった。 なにか心に、モニョっとしたものを抱えながら。 (なんでお菓子屋が鶏のローストなんだ・・・?) さて、明日の獲物でも探しにいくか・・・。 |